その歴史は1927年のアメリカに始まります。
生みの親は、ロサンゼルスのブラウン・ダービー・レストラン(Brown Derby restaurant)へパンを卸していたハリー・ベーカー氏。彼は自宅の空き部屋を秘密の厨房にして、日に40台以上のケーキを焼きました。そのふわふわしたケーキの噂が広まるに連れて、たびたびレシピを尋ねられるようになりましたが、20年もの間、決して明かさずにいたそうです。
その間、アメリカのエンタテインメント業界を代表する映画会社として名高いMGMやRKOのスタジオのほか、女優のバーバラ・スタンウィック (Barbara Stanwyck)やメイ・ロブソン(May Robson)、そして前大統領夫人エレナ・ルーズベルト(Eleanor Roosevelt)といったセレブ達にも届けていたとのこと。その希少性から、高級菓子という位置づけだったのでしょうか。
その後、1947年に秘密のレシピはゼネラルミルズ社に売却され、ここで初めて植物油を使っていたことが明かされました。『Better Homes and Garden Magazine』誌の1948年5月号で紹介され、1940〜50年代には国中で一大センセーションを巻き起こしたといいます。
ベーカー氏は100歳の長寿だったそうです。